+++君が汚れないおまじない+++

あるお友達がいて、折に触れては話し込んでいます。彼にとって自分は必要ないんじゃないかと思い悩んでいる様子。彼女によれば、彼は皆に優しいのに自分に冷たくて、メールも返さない。自分が知らない予定を他の子が知ってて、こっそり他の女性と逢っている、とのこと。

私は、共感したり、男性として違う意見を持ったりしながら、耳を傾けていましたが、ハッと気づいたことがひとつありました。それは、一人ひとり、それぞれの関係に「共通して言えること」は決してないということ。そのふたりのことは、そのふたりだけの世界の中のことなのだから、自分たちの関係をもっと信じて大切に思ってね、とすごく思った……。幸せな時間も、そうでない時間もね。

私にも同じようなことで悩んでいた時期があり、その時のことを思うと、胸の奥が締め付けられる思い出があります。私には、心からお慕いしている女性がいました。私の頭の中は完全に「その人」と「それ以外」になっていました。毎日毎日、「あと何日寝たらお逢いできるだろう?」と思って過ごしていましたし、でも逢いたがっているだけではエゴになってしまうと思って、そのお方に 恥かしくないようにと、仕事もちゃんと頑張ってやった。外で何か嫌な出来事があっても、そのお方に言いつけて眠れば、もうそんなことはどうでもよくなったものです。

自分が暇な時に相手が忙しかったり、何かに夢中だったりすると少し嫉妬したりするのだけれど、一緒にいられる時間が何よりの幸せだったから、ここが自分の居場所だと思えて、素直に、本当によく、泣いたり、笑ったり、はしゃいだりしていた。その頃の私を、私は自分でもとても好きです。不思議な魔法をかけられたようで、切なくて、弱くて、強い心だったと思います。

もしも今、考えが深みにハマっていて辛いとしても、どうか、「悩んでしまっている自分」を悩んだりしないでください。大きな悩みごとがあるときにも、安心できたり、好きな場所でなら、ふっといいことを思いつくこともあるでしょう。 きっと、誰の心にも自然治癒力があって、やがては自分で元気になっていけるから、私ができることは、ただ、それを思い出してね、とおまじないをかけるだけかもしれません。


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