一期一会

私は子供の時、人と関わりを持たないように
暮らしていたことは前にも書きました。
それでも全く関わりを断っていたのではありません。
 
小学の時に給食委員になって
低学年の面倒を見たりしたおかげで不登校にもならず。
中学の時に個人プレイの部活に打ち込んで
めちゃくちゃ厳しかったので不登校にもならず。
高校の時に図書委員になったら異様に結束が固くて
その中だけではうまくやっていけたので不登校にもならず。
なんとかやってこれたのは
そんな同じ教室にいない人たちのおかげでした。
 
そのうち同人誌のサークルにも入って
文通を通して彼氏も出来て、外の世界に入っていきました。
卒業して東京の学校に通うようになってからは
実に様々な人と関ってきました。
 
専門学校と言う場所は
同い年ばかりの集合体じゃなく
同じモノを目指す人たちが目的を持って入ってきます。
それが私には良かったのかも知れません。
ただなんとなく入ってきて、鬱憤が溜まって
人を苛めたり諍いを起こしている暇は
目一杯詰め込まれた単位で埋まってしまいます。
 
クラスメイトはほとんど友達でしたし
母ほど年が離れた人と授業の話をしたり
広範囲の学科がある学校法人だったおかげで
2年の間に他の学科の友達も出来て
教師も実に個性的で
いろんな考えを持つ人がいることを学んだ気がします。
 
そして、最初の仕事についたのは
まさしく個性的な教師がやっていたことだったから。
 
その会社でも、いろんな人がいて
いろんなハプニングもトラブルも起きて、
会社を出たら恋もして、結婚もして。
 
そんな会社とも縁が切れる日が近付いたある日
私は「最後のボーナスでパソコンを買おう」
と思い立ちました。
なんとなく今まで会社の人間としか
関わって来なかったことを思い出し
このまま止めたら社会と接点がなくなってしまう気がしました。
 
私がパソコンを買うと言ったら
「使おうと思って買ったけど、いらないから」と
職場の先輩が何本かソフトをくれました。
その中のひとつがホームページ作成ソフトだったのです。
 
いざネットをはじめて最初のうちは
チャットとMLで十分楽しかったのですが
そのうちサイトを開けるのは楽しいと吹き込む人が現れました。
後に付き合うことになるのですが……。
せっかくソフトも持ってるなら、と
開けたのがパソコンを買って3ヵ月後のことでした。
 
それからというもの、現実に会える人以外に
モニターの向こうにいるいろんな人と知り合うようになりました。
私の頭の中には、実にいろんな考えを持つ人たちが
意図とせぬままにいろんなものを置いていくようになり
一時期大混乱したこともありました。
見たこともない人から賛否両論、
浴びるように言葉をもらうのですから。
その中で私は段々、ネットとリアルの違いや、
実はさほど違わないことを感じていきました。
 
そして。
前の仕事も今の仕事も
パソコンがあってこその仕事です。
まして今の仕事など、あの時ソフトをもらわなかったら
絶対出来なかった仕事です。
当然パソコンがなかったら、このサイトのネタ元もなかったのです。
傷心の末に開けた、その
別れた張本人と会ったのも、ネットの波の中でしたから。
 
あの時、この人と出逢わなかったら。
 
私は巡り逢いの上で今を過ごしているんだと。
どんな時でも、誰かとは出逢い
救われて、与えられてきたのです。
そして、出逢わなければ良かったと、もしその時思っても
出逢ったからこそ大切なものが見えたり
自分は出来るだけそう思われないように省みたりしながら
それもまた無駄にはしたくないと思うのです。
 
一期一会。
出逢ったことからまた私に心の言葉が増えてゆく。
それを誰かに渡していく。
 
目指すは
心のわらしべ長者なのです。


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